前回に引き続き木造・鉄骨造のお話です。
基本的に木造でも鉄骨造でも耐震等級が同じならば地震への耐震基準も同じ、ということはお伝えしました。
では鉄骨にすることでメリット・デメリットをお話いたします。
まずメリットですが、鉄骨にした場合、木造にくらべて構造部材が少なくすみます。
木造の場合柱の数が増え、筋交いの入った耐力壁などが必要となるのですが、鉄骨造の場合は柱の数が少なく、耐力壁なども必要ありません。
つまり「建物全体」の耐震強度が同じならば、柱1本当たりの強度が高い鉄骨の方が、圧倒的に本数を減らすことができます。
ということは柱と柱の間隔が広くとれ、例えば1階を店舗や大きなインナーガレージにして、2階・3階を住居にしたい場合などに有利です。
1階部分に大空間が欲しい場合、柱や筋交いの入った壁などの制約を受けることなく、広々とした自由なレイアウトが可能となります。
木造住宅
鉄骨住宅
もちろん一般的な居宅ですと木造でも十分自由なレイアウトは可能ですが、1階に店舗などで広い空間の間取りをとりたい場合など、鉄骨造は非常に有効です。
ただデメリットとしては、やはりコストが上がります。
これも建物の規模、工務店さんにもよりますが、一般的に延床30坪の建物で、木造から鉄骨造にした場合、おおよそ300万円~400万円ほど追加となることが多いようです。
次に火災に対してですが、本来耐火性能については、柱や梁の骨組みの構造ではなく、外壁や室内側の壁、窓などの開口部に大きく影響されます。
というのは柱や梁は壁の中に納まっているもので、外部にむきだしではありません。
ですのでこの柱や梁の構造部まで火が回らないようにする性能は主に外壁・窓、室内側の壁の性能が重要になってきます。
これについては、またいつかこのブログでお話いたしますが、今回は単純に木の柱と鉄骨の柱で比較します。
まず木造のほうですが、木はおおよそ250℃が引火点で450℃になると自然発火します。
このように木は燃えやすい性質ではあるのですが、建材に使用する柱や梁は厚みが10cm以上あります。
ある程度厚みのある場合、木は表面が燃えても炭素化し、芯の部分までは中々燃え尽きません。
一般に30分火にさらされ続けても表面から2cm程度は焦げ、内側のほとんどは変形しないようです。
次に鉄骨ですが、まず鉄は燃えることはありません。
そこが鉄骨は火災に強い、というイメージになるのですが、建材に使う鉄は約350℃で軟化しはじめ、500℃で一気に強度が低下します。
一般に火災時の温度は600℃を超え、1000℃以上になることもありますので、もし壁の内部まで火が進み長時間火にさらされると柱や梁がぐにゃっと曲がり、倒壊する可能性がないとも言えません。
ただ先ほどお話ししたように、柱や梁はむき出しではなく、現在一戸建てで使われている壁材は耐火性能によって消化活動の間、内部に火が回らないよう(時間を稼ぐよう)に作られておりますので、耐火性能で一概に木造が良い、鉄骨が良いとは言えないと思います。
以上、木造と鉄骨造について簡単ですがお伝えしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
また来週(^_^)/